研究内容

研究内容

新規な分離・分解手法、管理技術ならびに評価技術に関する研究

循環型社会構築のために、以下の点を考慮して研究を行います。

  • リサイクルを行うためにどう収集するか
  • どうやって、EVABAT( Economically Viable Application of Best Available Technology )なリサイクルを実施させるか
  • 二次原料を循環させるために忌避物(有害物など)をどう系外に抜き出して処理するか
  • 制度面からも考慮をどうするか

その際、寄付講座であり、産業界に近いという特性と、海外のネットワークを利用して、実際に社会実装できる現実的な解を研究する事を目指しています。

(1)現在の研究の一例紹介

「持続可能で最適なプラスチックリサイクルシステムとは何か」を研究課題の核心をなす学術的問いに据え、小型家電を事例にプラ二次原料化市場を開拓し新たな資源循環を確立するための研究を行っています。

(2)その他行っている研究(他機関や他研究室との共同)

  • プラスチックフロー中に混入するハロゲンプラスチック
  • 廃棄物や二次原料中に混入する小型のLiB
  • 廃PVパネルの収集からリサイクルまでのトータルネットワーク検討
  • 地域一帯となった一般廃棄物からの資源廃棄物の回収

(3)過去の研究の紹介

H29年度~令和元年度において宮城県の大学連携事業である「希少金属等有用金属リサイクルシステム構築委託研究」を実施しました。

みやぎ方式の小型家電リサイクルシステム構築へ向け、県内における資源フローおよび廃棄物処理インフラ、資源賦存量等の解析と地理情報システム(GIS:Geographic Information System)を用いた可視化、プラスチック分析を行いました。また県内で実施された使用済み小型家電回収実証試験に参加し、一般廃棄物の不燃ごみ・粗大ごみとして排出される使用済み小型家電の実態解析を実施しました。


欧米等の最新動向の把握や情報発信

EUでのWEEE(Waste electrical and electronic equipment)制度の調査研究から活動を開始してきており、技術面歯元より、循環型社会・CE (Circular Economy) の考え方などに関連する海外制度の情報収集を継続しています。

国際会議の参加などを通し、EU委員会、地方自治体、リサイクル関連団体(NGO含む)、リサイクラー、廃棄物処理、製錬所と交流してきました。これらを利用し、海外関係者の招聘ワークショップ、海外大学とのジョイントセミナーなどの企画も行いました。

(最近の情報収集例)

  • The International Symposium on Feedstock Recycling of Polymeric Materials (ISFR2019)
  • Going Green-CARE Electronics (2018)
  • World’s Leading Trade Fair for Water, Sewage, Waste and Raw Materials Management(IFAT2018)
  • International Electronics Recycling Congress(IERC2018)
  • WEEE制度調査ー宮城県プロジェクト海外収集状況調査ーDPAーsystem、ELーKlesten、etc.(2017)

東南アジア諸国への啓発や共同研究

講座に寄付を行っているDOWAでは、固有の奨学生制度 (TOHOKU UNIVERSITY GESE-DOWA Scholarship) なども持っています。

これは主にアジアに進出している日本の製造業の廃棄物・リサイクルに関するコンプライアンスを担うべくDOWAも進出してそこでビジネスを行っています。その際、その国での社会制度や各種技術に併せて行かなければならず、その水準設定に大学間交流は欠かせません。そのため、一緒に研究・両国の知見の共有のみを目的として奨学生制度を活用しています。
この制度は2016年からはじめ、既にインドネシアのバンドン工科大学からの学生がE-Wasteの収集行動に関するテーマを行って修士を既に卒業し、現地の大企業に就職しました。現在は、タイのカセサート大学からの修士学生(駒井研究室に籍をおく)と、タイの土壌地下水汚染のリスクアセスメントに関する研究を行っています。
また、アジア各国ではまだ 廃棄物・リサイクル等の産業が充分に浸透していない場合もあるため、社会人に対しても、講義の提供や見学サイトのアレンジをすることも随時実施しています。

研究室では、基本的に特定のテーマに関する「海外での産官学プラットフォーム」を目指していますので、この制度も活用し、2018年には、両国大学、UNEP、日本大使館、タイ政府機関、石油関係企業、廃棄物処理、その他で 「タイでの水銀セミナー」 を、2019年には両国大学とタイ政府機関で「タイと日本の汚染サイトの持続可能な修復のためのセミナー」を開催しました。両国の若い研究者が日本側の経験とタイ側の現状を共有しています。
今後、廃棄物やリサイクルの分野では日本と同じ問題が起こるため、このようなプラットフォームは非常に重要となると考えています。